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ベンチャー企業の法務責任者に聞く、経営判断のカギを握る「戦略法務」とは?

2022年3月31日
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クーリエで法務に関わる業務のデジタル化を推進しながら、「戦略法務」の実現を⽬指し活躍する法務責任者のサトウ。前回のクーリエismでは、五⼤法律事務所からインハウスの法務へと転職したきっかけや、その中で実現したいことを中⼼に取り上げました。

今回は、サトウが取り組む「戦略法務」がクーリエの掲げるミッションにどのように繋がっていくのか、インタビューします。

法律事務所ではできなかった、企業として攻めの「戦略法務」を実現するための挑戦

-企業法務の役割は「予防法務」「臨床法務」「戦略法務」に⼤きく分類されるそうですが、まずこの3つについて教えていただけますか。

予防法務・臨床法務は、戦略法務と⽐較して「守り」の法務とされます。

予防法務とは、契約書の作成・レビュー、交渉内容の確認から管理を⾏う「契約法務」や、特許権などの知的財産を保護するため、特許出願や権利関係の管理を⾏う「知的財産権保護」、事前に法的なトラブルが起きることを回避したり、トラブルが起きた際に企業の被害を最低限に抑える「法的リスク管理」などが⽬的となります。

臨床法務とは、実際に起きた法的なトラブルに対応する業務となり、訴訟への対応や債権回収、突発的なクレーム対応への対処等が例として挙げられます。

対して、戦略法務とは、法的知⾒を経営の意思決定に活かすことで、スピ ード感のある事業成⻑や事業の⽴ち上げ実現に伴うスキームの提案を⾏う「攻め」の役割です。

予防法務や臨床法務との大きな違いは、明確に業務が定義されているわけではない中で、法の専⾨家としての知識・スキルを⽤いて経営戦略の実現をサポートし、企業価値の創出や事業利益を⽣み出すことに関わっていくことが求められる点です。

これはあくまで第三者的にアドバイスやサポートを行う法律事務所の立場では実現できなかった⼤きなチャレンジで、私⾃⾝も⾮常に楽しみにしていた取り組みです。

コーポレート業務におけるDX化の取り組みもここに含まれます。

-LegalTech(リーガルテック)という言葉も最近よく聞きますよね。

従来、法務の仕事というのは⾮常に属⼈化しやすいと⾔われています。

私が以前所属していた法律事務所でも、各弁護士が属人的に契約書などを作成し、パラリーガルという法律事務を補助する方々が資料を探すといった業務に⼤量の時間を費やしていました。

そんな環境にいたので、徹底的な属⼈化の排除に組織全体で取り組むクーリエにきて、はじめはちょっとしたカルチャーショックを受けました。

当たり前のようにメンバーが業務フローの効率化や⾃動化を⽬指し、サービスやオペレーションに対して提案していく姿を⽬の当たりにして、クーリエであれば自分は何を実現できるのか、法務という仕事にさらなる可能性を感じています。

経営判断にも⼤きく影響する「戦略法務」の実現を、デジタル化で加速させる

-既に推進している取り組みがあれば、教えていただけますか?

まず⾏ったのは法務関係の事例のドキュメント化です。属⼈化しやすい事例をデジタルデータでドキュメント化し、 関係者がナレッジを共有することで組織のボトムアップを⽬指しました。

急な調査依頼があったとしても、類似した事例があれば最短で答えを導き提供することができます。このスピード感は法律事務所では味わえなかったもので、他の事業部のメンバーからも感謝の⾔葉をいただくことが多く、法務のDX化に取り組んで良かったと思えることのひとつです。

-そのほか、やりがいを感じる瞬間はありますか?

契約書などを社内クラウドで⼀元管理し、セキュリティと検索性の向上を実現し、今まで⼈の⼿で時間を割いていた書類を探すという無駄な時間を、本質的な業務への取り組みに使えるようにすること、契約⾃体を電⼦化することで、リモートワークの普及や対⾯での商談が難しくなった状況下で、スピードを落とすことなく事業を進めていくことも、⾃分が事業会社でやりがいを感じているポイントです。

さらに他の事業部では当たり前だった、タスクの可視化・データ化を実現できたのは⾮常に⼤きな前進でした。成果だけではなくプロセスそのものをデータ化し、可視化することで同じゴールを⾒据え、課題と進捗の可視化を⾏うことで、⽣産性を向上させ関係者の認識を揃えて、法務チームとして向かうべき⽅向性を明確にすることができました。

-今後、クーリエの戦略法務は何を目指していくのでしょうか。

今後は、さらに業務の効率化や⾃動化を進めていくことと、「経営の意思決定の⽀援」を⾏い事業の成⻑にダイレクトに関わることを⽬指して「戦略法務」の実現していきたいと考えています。

例えばAIを活⽤して契約内容から事前にリスク検知をしたり、デジタル化することで得られるデータを分析し、収益の傾向や潜在的な利益を把握することで、新たなビジネスの可能性を⾒出すことも可能だと思います。

実現することで「事業会社の法務責任者」として⼤きな⼀歩を踏み出せるのではないかと考えています。

コーポレート業務のDX化を通じて、事業会社のミッション実現に貢献したい

-ここまでのお話で法務のイメージが大きく変わりました。サトウさんはコーポレート部門とクーリエのミッション・バリューの関係性をどのように考えられていますか。

ここまでお話ししたDX化の取り組みは、法務だけでなく、人事や総務、経理等のいわゆるバックオフィスとして分類されるコーポレート業務全てに適用可能ですし、まさにクーリエがバリューとして挙げる「03 再現性と仕組み化」「08長期的な視野に立った設計思想」そのものだと考えています。


【03.再現性と仕組み化】再現性の高いプロセスのオートメーション化やフローの削減によって、指数関数的な成長をします。形骸化をしないKPIの運用と、細部にこだわり続けるオペレーショナルエクセレンスを目指します。

【08.長期的な視野に立った設計思想】脱属人化を前提に、サンクコストを惜しまず、絶えず変化し続けていきます。技術的負債の返済と合意を行い、新しい価値を生み出すための破壊を恐れません。

―ミッションを実現するために大切にしている価値観(The 10 Values)

コーポレート部門は、それ自体から直接利益を生む業務ではないことから、地味で魅力のないものと捉えている方もいるかもしれませんが、クーリエでは従来型の「守り」としての業務だけでなく、DXをはじめとする仕組み化や業務設計による「攻め」の業務の実現に積極的に取り組んでいます。

成長を続ける事業会社であるクーリエで、その成長を更に推し進めるために、一見すると地味で「守り」に徹するコーポレートチームから「攻め」の要素を提供する。

極めてチャレンジングで、言わば影の立役者のような面白い立場から、今後も「テクノロジーによって新しい価値を創造し、一人ひとりのより良い未来をつくる」というクーリエのミッション実現に貢献し続けていきます。

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