私たちの存在意義

10年後、私たちを待ち受ける“超高齢社会”の厳しい実態

私たちが暮らす日本は、いま、世界でも類を見ない“超高齢社会”への道を突き進んでいます。しかし、その社会が具体的にどうなるのか具体的なイメージを持っている方は少ないのではないでしょうか。そこで、まずは“超高齢社会”を具体的に展望してみます。

実は、まもなく私たちは「2025年問題」に直面します。

2025年問題 ⇒ 800万人に上る団塊の世代(戦後の第1次ベビーブーム期1947~1949年に生まれた世代)が全員75歳以上を迎え、後期高齢者となる。

2022年現在、75歳以上の後期高齢者の割合は約13%ですが、2025年には約18%へと急上昇します。まさに、人類史上類を見ない“超高齢社会”の幕開けが目の前に迫っているのです。

では、今後はどうなるのか?将来の行く末を想像するために、改めて教科書でも習った「人口ピラミッド」で1965年からの推移を見てみましょう。

人口ピラミッド
出典:国立社会保障・人口問題研究所

2040年まで増え続ける社会保障費

少数の高齢者を多数の若者が支える構造から、まるで肩車のように多数の高齢者を少数の若者が支える構造へと転換していく流れは、もはや止められません。

さらに、“超高齢社会”にはもうひとつの課題があります。それは人口の減少。2050年ごろには1億人割れ、2065年には9000万人を割り込み、2100年ごろには5000万人台に突入すると、国立社会保障・人口問題研究所は推計しています。

もし、このまま何の手も打たずにいたらどうなるのか?現在よりも更に社会保障費は膨張し、社会全体を圧迫することになるでしょう。恐らく、現在のような生活水準を維持することも困難になります。今から、将来を見据えた取り組みをこれまでに無いスピードで進めていかなければならない状況なのです。

「どうせ落ち目の日本だから…」と傍観していて良いのでしょうか。このままでは未来は決して変わりません。私たちクーリエは、今から打てる手がきっとあるはずだと信じています。

社会を救えるのは、実はビジネスや産業だったりする

では、どうすれば良いのか?クーリエでは、提供するサービスやプロダクトを通して、「社会保障領域の生産性向上」・「少子高齢化の社会の中の内需喚起」・「介護を支える労働者人口の醸成」など、社会保障に関連する課題解決にビジネスとして真剣に取り組んでいます。

車いすに乗った男性を押して歩く女性のイラスト
“超高齢社会”を生産性の向上で乗り越える

クーリエは、これから先に待ち受ける超高齢社会を乗り越えるためには、生産性の向上こそが最大の鍵だと考えています。特に、社会保障の分野 ―具体的には介護・医療・障がい者福祉については、規制と今なお続く古い商習慣・労働習慣の影響がまだまだ色濃く、仕組みで効率化する余地を大きく残しています。

そこで、創業当初から現在までの10年あまり、私たちは超高齢社会の最大の課題である「介護」に軸足を置いてビジネス展開をしてきました。

介護業界に深くコミットすることで見える最大の課題は、今なお想像以上にデジタル化が遅れていることです。その理由はさまざまですが、サービスを受ける当事者の方々にとっても家族の方にとってもまだまだデジタルが遠いことに加えて、「担い手は良心をもって身を粉にして働き、利益度外視の“ボランティア”でなければいけない」といった“精神論”的な雰囲気が今も業界全体に残っていることも要因となっています。

医療や福祉などの関連領域をテクノロジーで支援することが私たちの目標です。私たちだけでなく、当事者の方も、社会もより良いものになるような“三方良し”のビジネスを拡大していくことを目指しています。

三方良しのビジネス展開イメージ図
社会保障を“三方良し”のビジネスへ

特に、スマートな経営ができる事業者を増やすことが課題の解決には必須です。そこで、クーリエでは、“人にしかできないこと”を行うために、“人がやらなくてもよいことのシステム化”、言い換えれば「本来の“人の価値”を高めるための業務改革」に最大のリソースを注いでいます。

人差し指を立てたスーツ姿の男性
本来の“人の価値”を高める業務改革を

少子高齢化への対策が必要だという議論は、1990年代半ばに始まりました。社会保障の分野では、行政が様々な制度設計を担ってきましたが、未だに問題の解決にはいたっていません。行政がいくら優れた仕組みをつくったとしても、民間の各事業者がより良いサービスを提供できなければ、それは絵に描いた餅に終わってしまいます。

ビジネスの力が社会保障の分野にこそ必要です。スピーディな意思決定のもと、民間の私たちが消費者や事業者の負担を抑えたより良いサービスを作り上げ、大きな産業に育てることで、公的サービスを支えつつ経済成長をも担うことができます。エコシステムの構築と、持続可能な社会の取り組み、健全な消費者価値をテクノロジーによって追求する。私たちが貢献できる余地は大きいはずです。

世代別貯蓄・負債現在高(2021年)
出典:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)」

適切にビジネスとして展開するということは、経済の活性化にも繋がります。今、日本のタンス預金は100兆円を超えると言われていますが、高齢世代に偏っています。現時点の統計を見ても、若い世代は貯蓄より負債が多いのに対して、高齢世代は貯蓄の方が圧倒的に多い状況です。

高齢者にとって望まれるサービスを適切なビジネスとして育てていくことこそが、超高齢社会への不安を乗り越え、社会をより良くするためには必要だと、私たちクーリエは確信しています。

“ロックダウン”で感じた「介護は家族にとって本当に不可欠なサービスである」ということ

クーリエでは今、老人ホーム探しの“みんなの介護”と、介護業界向けの求人 “みんなの介護求人”の2つのプラットフォームを軸にビジネス展開をしています。

みんなの介護・みんなの介護求人のトップ画面
クーリエが展開するプラットフォーム“みんなの介護”・“みんなの介護求人”

自分たちの仕事が本当に「社会に役に立っている」と言えるのか?2020年に始まった新型コロナウイルスのパンデミックの当初、自らのビジネスの価値に改めて気づかされる出来事がありました。

緊急事態宣言下の渋谷の交差点
緊急事態宣言下の渋谷(画像提供:PIXTA)

2020年4月、初めて全国に緊急事態宣言が発出されました。人々の往来は途絶え、全国の都市は“ロックダウン”状態となりましたが、この時、「みんなの介護」への問い合わせ件数は過去最低を記録しました。

しかし翌月、意外なことが起きました。問い合わせ件数が過去最高を記録したのです。多くの人が介護を自ら賄おうとしたけれど、24時間の介護は1ヶ月も経たずに限界に達してしまいました。リモートワークが普及したとはいえ、フルタイムで働きながらの介護は、肉体的にも精神的にも限界を超えた負担となっていたのです。

さらに、このとき「みんなの介護求人」への問い合わせも過去最高の水準に達しました。コロナ禍においては、特に飲食や宿泊、アパレルなどのサービス業の方々が打撃を受け、多くの方が仕事を失われました。そうした影響を受けた離職者の方々の次なる転職先として、介護業界が注目を集めたのです。

高齢者女性に笑顔で話しかける介護士
コロナ禍において介護業界が転職先として注目を集める

介護業界は慢性的な人材難に悩んできました。そこで、「みんなの介護求人」では、他業界に勤める人を介護業界にいざなうことを目標にプラットフォームを展開してきました。サービス残業の撤廃や、休日の確保、年収のアップなど― 労働環境を整備している良い事業所にスポットライトが当たるようにシステムを設計してきました。この取り組みが功を奏したのかもしれません。

「本来の“人の価値”を高めるための業務改革」を成し遂げる組織作り

これから日本の生産年齢人口は急激に減少していきます。最も大切なのは、人の価値を高めることです。“人にしかできないこと”を追求するためには、“人がやらなくてもよいことのシステム化”を実現する必要があります。例えば、介護業界なら、事務作業などの業務はシステムに置き換え、社会インフラ維持に必要不可欠なエッセンシャルワークに専念できるような労働環境を作り出す。そうすれば、各々の事業所における収益率を向上させることができ、社会保障費の効率化や、働き手の待遇改善にも繋がります。

システム改善のイメージイラスト
本来の“人の価値”を高めるため システムの機能改善を重ねる

介護は高齢化すれば必然的に直面することです。その意味では、誰にとっても自分事といえます。しかし、課題もまだまだ多いのが現実です。だからこそ、フロントからバックエンドまで、どんな業務でも「これを良くしたら、誰かがきっと幸せになる」という実感が確実に得られます。

いま、クーリエは10年・100人の壁をまさに乗り越えたところです。「根気強く、地道に社会のために取り組みたい」そんな志を持ったプロフェッショナルがチームを組んで日々戦っています。

また、人員構成もユニーク。弁護士やSIer出身のデジタルマーケター、外資系コンサルファームといったスペシャリストが数多く在籍しています。

プロダクトにおけるUI/UXについては、自分たちの感覚は正しいとは思っておらず、常にサービスのエンドユーザーに会いに行き、VoC(Voice of Customer)を取り込み、より良いサービスを目指し改善する。労力を惜しまず、自ら一次情報を取りにいくカルチャーがあります。

「カスタマーのため、クライアントのため、日本の社会保障のため」という志のもとに、他では出来ないインパクトをこの会社なら実現できると信じて日々邁進しています。