
成果に必要なのは徹底的なデータ分析に基づく根拠。想定リーチ数270万人の電車広告プロジェクトの意思決定を手掛けてわかったこと
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カミハラ
カミハラ
東京大学出身。前職ではIT業界・地方創生業界のベンチャー企業で自社サービスの要件定義やUI/UXデザインから企画立案まで幅広く従事した。業務異動の多さから専門性への危機感を抱き、データ分析スキルの専門性獲得を目指してクーリエに入社した。現在はブランドマネージャーとしてSQLと関数を駆使してテレビCMやチラシ広告の効果を最大化。事業全体を見渡せる高い視座とマネジメントスキルの習得を目標として掲げる。
ベンチャーでの幅広い経験から、専門性の追求を決意
カミハラさんは前職でIT業界と地方創生業界のベンチャー企業に勤務されていたそうですね。どのような業務を担当されていましたか?
IT業界と地方創生業界のベンチャー企業で2年間勤務していました。ベンチャー企業らしく、UI/UXデザインやデジタルマーケティング、企画立案などさまざまな業務を広く浅く経験させていただきました。
具体的には、自社が提供しているタブレット型オンライン学習サービスの要件定義作成やUI/UXデザインを担当していました。また、複数の自治体や観光協会に対してインバウンド獲得のための企画立案から運用まで幅広く携わっていて、Free Wi-Fiの設置と周遊コースモデルの作成、SNS運用なども行っていました。
デジタルマーケティングのコンサルティング案件では、某大手化粧品会社のECサイト改善にも取り組みました。地方創生業務に携わっていた2年目は、出張先でたくさんお酒を飲んで盛り上げた結果、先方に気に入られて帰ってくることが多かったですね(笑)。

ベンチャー企業ならではの幅広い経験を積まれたんですね。転職を考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
前職では業務異動が多く、せっかくコツをつかんだり知見が深まったり、人間関係を築いた業務を短期間で離れなければならないことが多かったんです。経験は広がる分、突出したスキルを身につけられなかったという課題を感じていました。
若いうちは経験を広げることも大切だと考えていましたが、それと同じくらい、自信を持てるスキルを身につけたいと考えるようになりました。このままでは、どの領域でも中途半端な状態になってしまうのではないかという危機感がありました。
幅広い経験を積むことで見えてきた自分の興味関心もあったので、今度はひとつの領域で専門性を高めていきたいと思ったんです。特に、デジタルマーケターの分野に興味を持っていたので、実務的なスキルを身につけたいと考えていました。
数ある企業の中で、なぜクーリエへの入社を決めたのですか?
面接でマーケティングを担当している取締役の大山から、数字を徹底的に追う分析力とそれに基づく関数やSQLのスキルが身につけられると聞いたことが決め手でした。今まで広く浅く業務をしてきた自分にとって、本腰を入れてひとつの領域に挑戦できる良い機会だと考えたためです。
また、面接で社員全員の仕事への熱意が高いと聞いたことも魅力的でした。自身にとって刺激を感じつつ、自分を現状より高い視座を持てる人材に成長させられる環境だと期待したんです。
介護という社会課題に向き合いながら、データ分析のスキルを本格的に身につけられる。そんな環境で働けることに、大きなやりがいを感じました。
SQLスキルを武器に、精緻な広告の効果測定で成果を創出
入社後はどのような業務を担当されていますか?
現在はブランドマネージャー部門のメンバーとして、より効率的に効果の高い広告配信をするための分析をする役目を担っています。
主に行っている業務は次の3つですね。
- マルチチャネル広告のデータ分析
- 各広告チャネル(TV・交通・紙媒体)別に、日時・時間帯ごとの接触データを解析
- 集客効果や行動誘発率を可視化
- 広告クリエイティブのコンセプト設計
- ブランドの世界観を直感的に伝えるストーリーを設計
- ユーザー心理に訴求するクリエイティブ軸の構築
- 新規オフライン広告事業
- 体験価値を中心に設計された、リアル接点に最適化されたUI/UX構造の企画・実装
SQLを駆使し、テレビCMの効果測定および線引き業務を実施しています。CM放映ログとセッション数を突合・集計し、曜日×時間帯や番組名ごとの効果を可視化することで、より効果的な広告戦略の立案に貢献しています。
また、チラシ広告の配布地域ごとの効果測定では、配布エリア単位でのセッション数や成約数を可視化しています。
前職では触れることのなかったデータ分析の世界ですが、数字に基づいて施策の効果を測定できることに、大きなやりがいを感じています。

入社後に感じたギャップはありましたか?
サービスの対象として介護を扱っているため、お堅い企業の印象を持っていましたが、予想よりも先輩や上司、他部署の方とコミュニケーションが取りやすく、非常に業務に取り組みやすい環境でした。それによって、自己成長がしやすいと感じています。
日々、新しい業務を担当するため、1日があっという間に過ぎるのですが、充実感を得ています。データ分析はまったくの未経験分野でしたが、周囲の手厚いサポートもあって、着実にスキルアップできていることを実感しています。
また、想像以上にスピード感を持って業務が進むことにも驚きました。前職も決して遅いわけではありませんでしたが、クーリエでは意思決定から実行までのスピードが非常に早く、日々成長していることを感じられます。
現在は「夏の入居相談フェア」というプロジェクトを手掛けているそうですね。詳しく教えてください。
8月に夏の入居相談フェアというキャンペーンを実施することになり、それに合わせてお盆の時期に首都圏のJR全線で電車のドア横広告を出稿するか否かという重要な意思決定を任されました。
このプロジェクトには高額の予算が関わるため、他のプロジェクトもそうですが、感覚的な判断ではなく、徹底的なデータ分析に基づいた根拠が求められます。
まず、JR東日本が公開している過去3年分の路線別・時間帯別乗車人数データから、お盆期間中の利用者動向を詳細に分析しました。さらに、交通広告業界の調査データから「ドア横広告の平均視認率は65%」「乗車1回あたりの平均滞在時間は3.2分」といった認識率指標を収集しました。
これらを掛け合わせることで、山手線、中央線、東海道線など主要15路線における想定広告接触人数を路線別に算出していきました。
最も苦労したのは、お盆期間特有の乗車パターンの変化を正確に読み解くことでした。
通常の平日であれば、朝の山手線は「都心部に通勤するビジネスパーソン」が主な利用者ですが、お盆期間中は帰省客や観光客などが多いことによって、時間帯別の利用者属性が複雑に変化します。
論点とそれに対するタスクは以下のようになるでしょうか。
- 論点:お盆期間特有の乗車パターンはなにか、それはどのように特定することができるか
- 15の主要路線を主な利用客の属性によって4つのクラスターに分類し、それぞれ異なる分析モデルを適用
- 時間帯別に乗車人数を算出
- 乗車時間による広告への接触時間、接触頻度を数値化
- 「広告効果の質」を多角的に評価する独自フレームワークを構築し、過去の広告施策のCPA比較検証
- 接触からCVまでの想定ファネル設計
- 総コストと予測獲得件数を見合わせて単価算出
- 15の主要路線を主な利用客の属性によって4つのクラスターに分類し、それぞれ異なる分析モデルを適用
前職では「多分こうだろう」という半ば感覚で判断することが多かったのですが、クーリエでは「なぜその数字になるのか」を論理的に説明できなければ承認されないという厳密性がありました。
分析を重ねた結果、270万人という想定広告接触人数を導き出しました。この数字を基に、1接触あたりのコストを計算し、過去の広告施策のCPA(顧客獲得単価)と比較検証。「従来のWeb広告と比べて高いコスト効率が見込める」という結果が出たため、出稿を決定しました。
出稿決定後は、プロジェクトリーダーとして約2週間のタイトなスケジュールで実行フェーズを統括しました。デザイナーとの広告クリエイティブ制作では、限られたスペースでいかに介護施設探しのニーズを喚起するかという課題に直面しました。A/Bテスト用に2パターンのデザインを制作し、事前に社内でアンケート調査を実施して最終版を決定しました。

入稿作業では、JR東日本の厳格なガイドラインに沿った仕様調整が必要で、印刷会社との細かな調整を重ねながら、掲出開始日に間に合わせることができました。
このプロジェクトを通じて、「データに基づく戦略立案 → 実行 → 効果測定」という一連のマーケティングプロセスを、責任者として完遂できたことが何より大きな成長でした。
前職では部分的な業務しか経験できませんでしたが、クーリエでは入社からわずか数ヵ月で、これほど大規模で影響力のあるプロジェクトを任せていただけたことに、「本当にマーケターとして成長している」という実感と深いやりがいを感じています。
事業全体を見渡せる高い視座とマネジメントスキルの習得を目指して
今後のキャリア目標について聞かせてください。
自身の分析スキルを磨きつつ、事業全体を見渡せる高い視座を持ちたい、また、マネジメントスキルを習得したいと考えています。
前職でマネジメントに苦労した経験があるため、今度はしっかりとスキルを身につけたいと思っています。また、目の前の業務に集中するだけでなく、事業全体を見渡しながら業務に改めて取り組むことで、より高い効果を生み出せると考えているからです。
データ分析のスキルは着実に向上していると感じていますが、それをどのように事業成長に結びつけていくかという視点をより深めていきたいですね。数字を追うだけでなく、その数字が示す意味を正しく理解し、適切なアクションに繋げられるマーケターになることが目標です。
カミハラさんが考える、クーリエのマーケティング職に向いている人材像を教えてください。
スキルアップをしたい人、日々同じ業務の繰り返しで退屈したくない人に向いていると思います。
クーリエでは常に新しいチャレンジができる環境があり、データ分析やマーケティング施策の立案・実行まで幅広く経験できます。未経験の分野でも、周囲のサポートを受けながら積極的に学んでいく姿勢があれば、必ず成長できると思います。
また、数字やデータに基づいて物事を考えることに興味がある人にもマッチすると感じています。感覚的な判断ではなく、きちんとデータを分析して根拠を持って施策を提案していく。そういった論理的思考を身につけたい方には、とても良い環境だと思います。

最後に、マーケティング職を志望する方に向けてメッセージをお願いします。
自分が手に入れたいスキルやキャリア目標を、上長と直接話せるため、自分のなりたい人材にスピード感を持って成長できるチャンスがあります。
私自身、未経験からSQLやデータ分析のスキルを身につけることができ、大規模なマーケティングプロジェクトにも携わらせていただいています。前職での幅広い経験も無駄にならず、むしろそれらを活かしながら新しいスキルを習得できています。
クーリエには、個人の成長を本気で支援してくれる環境があります。介護という社会課題に真摯に向き合いながら、マーケティングの専門性を高めていける。そんな意義深い仕事に興味がある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
日々、自分の成長を追い求めていける環境で、一緒に働きましょう!